宝石の国

宝石の国を読んでいます。
この作品は、市川春子初の長編漫画です。
「虫の歌」「25時のバカンス」に続く作品です。
前2作はいずれも短編で、短い中にも起承転結があり、また
心に残る言葉がいっぱい散りばめられていました。

今回の「宝石の国」にも心に残る言葉がたくさんあります。
「過酷で役立つ仕事は自分の存在に疑問を抱かないためのよく効く麻薬です」
「何の役にも立ってないなら、いてもいなくても同じでしょ」
「遠くにいるボルツは大事に見える」
など。軽いタッチで描かれていて、絵も綺麗ですが切ないセリフが多いです。

永遠の生を持つ宝石の話。しかし、自分に満足しているモノは少なく、
毎日少し苦しそうに生活しているように見えます。
月人に狙われて、自由に動き回れる生活は常に脅かされている宝石たち。

その中でも、月人との戦いに参加できない程弱い主人公、フォスフォフィライトは
何の役にも立たないと皆に言われながらも一番楽しく明るそうに生きていました。

しかし3巻以降の展開は辛いです。フォスフォフィライトはあんなに求めていた強さを
手に入れました。しかし、それは本来の自分の姿から少しずつ少しずつ、
遠ざかった結果でもあります。

タイトルに宝石と付いており、各キャラクター設定も勿論、宝石の特性に
沿ったものとなっています。しかし宝石をテーマにした漫画というよりも、
人の性格やその生き方に焦点をあてた漫画となっています。

そして長編だからできる、宝石が生きているこの世界の成り立ちの謎や先生の正体が
巻を追うごとにわかっていくミステリータッチも魅力です。